琥珀糖

  昨年からSNSなどでブームになっている「琥珀糖」というお菓子があります。琥珀糖は溶かした寒天に砂糖と色素を加えて固めたものです。寒天を溶かす際に溶けるだけたくさんの砂糖を加え、それから冷やすことで、溶けきれなくなったと砂糖が外側に結晶化して、それを乾燥させることで、外側がシャリシャリで中が寒天のゼリーのような食感に仕上がります。その食感の不思議さと、形を四角にしたり不規則にしたりといろいろアレンジしたり、また透明な素材に様々な色を加えたりすることで宝石のような見た目になり写真映えがすること、比較的材料や道具も身近にあるもので作れて作り方もさほど難しくないことから、自宅で作って楽しまれても個人の方も多いようです。また某アニメのギフトでキャラクターのイメージカラーを琥珀糖で再現したということも知名度の増加に一役買ったと言われています。 

 そこで天然色素を扱っている当社としてはこの素材を見過ごすわけにはいかない、ということで今回、天然色素のみを用いて着色した琥珀糖を試作しました。色素はいずれも日農化学工業(株)の製品を用いました。


着色見本


 琥珀糖は成型するのが少し大変ですが、着色自体は透明な寒天をベースにしているため、比較的ゼリーに近い色合いを綺麗に出しやすい素材と言えます。但し酸性の成分が入っていないため、アカキャベツ色素やシソ色素などアントシアニン系の色素を使う際は寒天の凝固に影響しない範囲でレモン果汁やクエン酸を加えてあげた方がよいかもしれません。天然色素のみでもこのようなカラフルな組み合わせができ、綺麗に並べると食べるのがもったいなくなるような感じに仕上がります。形を崩して様々な断面を見せてより宝石っぽくしてみたり、色を組み合わたり、濃淡をつけてみたりしても面白いのではないでしょうか。  


Recipe <約9kg分(90gx100個分)>

<琥珀糖>
   粉寒天             100g   
   砂糖           7kg
   水                4kg
   色素(下表参照)

<色素>
※色素濃度は糖液(9kg)に対して 

アカビート色素
ベニコウジ色素
ニチノーカラー ビートレッドCG30
ニチノーカラー MNS-R
18g(0.2%)
9g(0.1%)
ベニコウジ色素 ニチノーカラー MNS-R 18g(0.2%)
クチナシ黄色素 ニチノーカラー YN-30 4.5g(0.05%)
ベニコウジ黄色素
クチナシ青色素
ニチノーカラー GM-76 18g(0.2%)
クチナシ黄色素
クチナシ青色素
ニチノーカラー GK-S 18g(0.2%)
クチナシ青色素 ニチノーカラー BLUE-B150 4.5g(0.05%)
クチナシ青色素 ニチノーカラー BLUE-CP100 9g(0.1%)
クチナシ赤色素 ニチノーカラー クチナシR-50LB 18g(0.2%)
アカビート色素 ニチノーカラー ビートッドCG30 18g(0.2%)

<作り方>
  ① 粉寒天と砂糖、水をよく混ぜる。
  ② ①を火にかけてふつふつと煮立ってきたら弱火で5分間煮詰める。
     ※ここで混ぜてしまうと白く結晶化してしまうので、ここでは混ぜない。
  ③ 手早く型に流しいれ、そこに予め水1gに溶解しておいた色素を添加し混合する。
  ④ 固まったら切り分け、バットに並べて3日間乾燥させる。  


株式会社鹿光生物科学研究所では食品の着色についてこれまでに培った様々な知見をもとに、お客様のご要望に沿った色彩の食品開発を支援しております。写真に関すること、色調や安定性など、食品の色に関することはなんでもお問い合わせ下さい。