名称 | マリーゴールド色素/Marigold color(Lutein) | ||
概要 | 「本品は、マリーゴールド(Tagetes patula L. 若しくはTagetes erecta L. 又はそれらの種間雑種)の花から得られた、キサントフィルを主成分とするものである。(第9版食品添加物公定書)」 | ||
INS No. | 161b 161(i)~(iii) |
E No. | E161b |
色調 | 黄色 | 染着性 | ― |
溶解性(水) | × | 溶解性(油) | 〇 |
耐熱性 | 〇 | 耐光性 | 〇 |
金属の影響 | ― | タンパクの影響 | ― |
分類 | 既存添加物/食品添加物公定書 | ||
特徴 | 油溶性/耐熱性・耐光性強い | ||
ニチノーカラー | MG-12(液体、水分散性) | ||
食品への表示例 | マリーゴールド色素、カロチノイド色素、カロテノイド色素、着色料(マリーゴールド)、着色料(カロチノイド)、着色料(カロチノイド) | ||
使用基準 | 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類 |
来歴
マリーゴールドはキク科に属し、鮮やかな黄色、橙色、暗赤色などの美しい花とその独特の香りで観賞用植物としてよく知られています。原産地はメキシコで、主な主として4種類のマリーゴールドが知られています。
その中で日本で食品添加物(着色料)の原料として認められているのは基本的に2品種のみとなっています。それは高生で大輪の花を付けるタイプのアフリカン・マリーゴールド Tagetes erectaと、草丈が低く分枝が多いタイプのフレンチ・マリーゴールド Tagetes patula)であり、これらの交雑種も色素用の品種として認められています。
色素成分
マリーゴールドの色素の主体は、キサントフィルの一種であるルテインです。キサントフィルはカロテノイド由来の黄色の色素で、ほとんどの植物に存在し、葉の色素体で作られ、クロロフィルと共に光合成に関わっている化合物です。マリーゴールドの他、ホウレンソウやパセリなどの野菜や卵黄などにも多く含まれています。
キサントフィル自体はカロテンの構造を基本骨格としていますが、カロテンが水素原子のみからなるのに対してキサントフィルは水素原子の幾つかがヒドロキシル基などに置き換わった構造をもっています。マリーゴールド色素の主色素成分であるルテインを始めとして、紅藻類に含まれるアスタキサンチンや柑橘類に含まれるβ-クリプトキサンチンなどが主なキサントフィルです。
特徴
色素としての特徴は、鮮やかな黄色を呈する油溶性の色素で、水には溶けません。従って飲料などに使用する際は水に分散するように乳化製剤にしたものが使用されます。熱や光に強く、天然色素の中では使いやすい色素です。
用途
用途としては、柑橘系をイメージした飲料やゼリー、菓子などに使用されています(下写真)。 また色素以外に機能性にも着目されており、特に眼の疾患、特に加齢黄斑変性への効果について多くの知見があります。
海外
海外ではマリーゴールド色素に相当するものとしてINS161b Lutein(ルテイン)として扱われています。ルテインも枝番が幾つかあり、それぞれINS161b Lutein/INS161b(i) Lutein from tagetes erecta/ INS161b(ii) Tagetes extract/INS161b(iii) Lutein esters from tagetes erecta となっています。世界的にも比較的使用できる国が多い天然色素の一つとなります。
注:海外では日本とは異なり、天然色素でも使用できる食品や最大使用量が決められていることがあるため、現地の食品添加物リストに記載があっても、目的の食品に使用できないということがあるためご注意ください。