名称 | ヘマトコッカス藻色素/ Haematococcus algae color | ||
概要 | 本品は、ヘマトコッカス(Haematococcus spp.)の全藻から得られた、アスタキサンチン類を主成分とするものである。食用油脂を含むことがある(第9版食品添加物公定書)。 | ||
INS No. | なし | E No. | なし |
色調 | 橙~暗褐色 | 染着性 | ― |
溶解性(水) | × | 溶解性(油) | 〇 |
耐熱性 | 〇 | 耐光性 | 〇 |
金属の影響 | ― | タンパクの影響 | ― |
分類 | 既存添加物/食品添加物公定書 | ||
特徴 | 色の本体はアスタキサンチン/独特のにおいがある | ||
ニチノーカラー | |||
食品への表示例 | ヘマトコッカス藻色素、カロチノイド、カロチノイド色素、カロテノイド、カロテノイド色素 | ||
使用基準 | 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類 |
来歴
橙~暗褐色の色素であるヘマトコッカス藻色素は、その名前はあまり知られていませんが、アスタキサンチンという言葉は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ヘマトコッカス藻は淡水に住む緑藻の一種です。
緑藻には単細胞生物から多細胞生物まで様々な形態のものがありますが、ヘマトコッカス藻はその中で単細胞性の緑藻です。細胞増殖をして増える栄養期と、栄養飢餓や光などストレスを受けた際になる休眠期があり、その休眠期の際に多量の赤色色素「アスタキサンチン」を産生し、細胞内に蓄積します。そのことから本来はストレスに対応するために産生される二次代謝物であると考えられます。
このアスタキサンチンは実は私たちもよく目にしている色素で、エビ、カニや鮭などの赤色の本体は実はアスタキサンチンなのです。アスタキサンチンを持つ藻類をオキアミやプランクトンが摂取し、それをエビやカニが摂取することでアスタキサンチンが取り込まれて発色しているのです。従って、鮭や鯛など魚の養殖で肉色をよくするために飼料に配合されることもあります。
アスタキサンチン
アスタキサンチンはカロチノイドが持つ水素原子のいくつかがヒドロキシル基に置換しているキサントフィルの一種です。よく知られているキサントフィルとしてはミカンに含まれるβークリプトキサンチン、緑黄野菜に含まれるルテイン、赤ピーマンに含まれるカプサンチンなどが知られています。最近では抗酸化作用や脂質過酸化抑制作用などを示すことから健康食品素材として注目が集まっています。
用途
ヘマトコッカス藻色素は油溶性で水には溶解しません。染着性はありませんが耐熱、耐光性は標準的で、チョコレートやアイスクリームなどの菓子類に使われています。また水に分散するようにした乳化製剤は飲料やヨーグルトなどに使用されています。