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シソ色素

名称 シソ色素/Perilla color
概要 「本品は、シソ(Perilla frutescens Birtton)の葉から得られた、シソニン、マロニルシソニンを主成分とするものである。デキストリン又は乳糖を含むことがある(第5版既存添加物自主規格)」
INS No. 163 E No. E163
色調 赤~赤紫色 染着性
溶解性(水) 溶解性(油) ×
耐熱性 耐光性
金属の影響 あり タンパクの影響 暗紫色
分類 一般飲食物添加物/既存添加物自主規格
特徴 アントシアニン色素/pH3以下鮮明赤紫色、pH5~6赤色
ニチノーカラー R-S520A(液体)/R-S220A(液体)
食品への表示例 シソ色素、野菜色素、アントシアニン色素、着色料(アントシアニン)
使用基準 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類

 

来歴

シソ(Perilla frutescens var. crispa) は、中国中南部,ミャンマー,ヒマラヤ地方を原産地とするシソ科シソ属の一年生草本です。シソは品種が多く、

[葉が縮れるタイプ]
 赤縮緬シソ(P. frutescens var. crispa)
    縮緬青シソ(P. frutescens
var. Viridi-crispa)

[葉が縮れないタイプ]
 赤シソ(P. frutescens var. purpurea)
 青シソ(P. frutescens var. viridis)

などがよく知られています。また青シソと同種で香りが異なるエゴマの学名はシソと同じP. frutescensで、シソの変種として扱われています。


いずれも日本では古くから香味野菜として認知されており,梅干し,ふりかけ(ゆかり)などでも馴染みが深い野菜です。葉だけでなく、発芽して間もない芽を摘み取った「芽ジソ」や花穂を利用する「穂ジソ」などの利用もあります。また種子から採った油(シソ油(エゴマ油)」には身体によいとされるα(アルファ)―リノレン酸が多く含まれています。このうち、シソ色素に利用されるのはPerilla frutescens Birtt. var. acuta Kudo(赤シソ)となります。


蘇葉

 「蘇葉」は赤紫蘇の葉を用いた生薬で、香蘇散や柴朴湯、参蘇飲など、胃腸の働きを助けたり、気鬱の症状を和らげる気剤といわれる方剤に多く配剤されています。また解熱作用,中枢神経系の興奮抑制作用,抗アレルギー作用等に基づいて鎮咳去痰薬や風邪薬として用いられています 。シソの精油の中に50%以上も含まれているペリルアルデヒドというモノテルペンがシソ独特の香りの正体ですが、これが蘇葉の有効成分とされ、日本薬局方では規格になっています。


赤シソのアントシアニン

赤シソには約 12 種類のアントシアニンが含まれますが、そのうち主要なアントシアニンはシソニンとマロニルシソニンです。シソニンはシアニジンにグルコースと、パラクマル酸とグルコースががついた形で、マロニルシソニンはシソニンに更にマロン酸がついたものになります。品種や栽培条件等で異なりますが,マロニルシソニンは全アントシアニン中の35 ~ 50%を占めています。新鮮な状態では比較的安定ですが,室温放置および加熱するとエステル結合のマロン酸が外れて容易にシソニンになり,さらに結合が外れるとパラクマル酸が外れてシアニンとなり退色しやすくなる性質があります 。従って、赤シソから色素を抽出する時や色素製剤にする際はpHを下げることが行われます。


梅干しと柴漬け

赤シソの色素は梅干しと柴漬けによく用いられています。梅干しでは、赤シソのマロニルシソニンやシソニンが、梅のクエン酸により酸性下で安定化して赤色を発色し、梅干しの色の元になっています。アントシアニン系の食用色素の中ではやや紫味が強く,熱や光に比較的安定なのが特徴です。また柴漬けは本来、ナスとシソ葉、塩のみで漬けられます。柴漬けは濃紫色ですが、これは熟成中にナスと赤シソのアントシアニンが分子会合により安定化し、乳酸発酵で生じた乳酸や添加した食塩のおかげで安定した赤色になります。
 また、昔から農家で梅干し用で栽培されていた赤シソにクエン酸を入れて煮出した液に砂糖を混ぜて赤シソジュースが作られており、色合いがきれいで清涼感と疲労回復があるとのことで好まれています


用途

 シソニンやマロニルシソニン自体には香りはありませんが、シソ色素としては独特の香りを持った色素となります。従って、梅漬けや柴漬けなどのシソを使う漬物、あるいは梅やシソをイメージした菓子類や飲料などに主に使用されます。


健康野菜赤シソ

 あまり知られていませんが、蘇葉として漢方にも用いられているように、シソは野菜の中で栄養価に富む隠れた健康素材です。このようにカロテンやビタミンB2,Kなど、野菜の中で上位10番に入るものが幾つもあります。 

βカロテン 11,000μg/100g 野菜の中で第3位
βカロテン当量 11,000μg/100g 野菜の中で第5位
ビタミンB2 0.34mg/100g 野菜の中で第9位
ビタミンK 690μg/100g 野菜の中で第2位
レチノール活性当量 880μg/100g 野菜の中で第6位

 ※日本食品標準成分表2015年版(七訂)


赤シソの機能性と機能性表示食品

 その他、赤シソであればポリフェノールの一つである赤色の色素アントシアニンもあるほか、シソが持つ特徴的な機能性成分としてロスマリン酸やアピゲニン、ルテオリンなども知られています。これらは強い抗酸化作用を持ち、抗アレルギー作用などが知られています。中でもロスマリン酸については日農化学工業(株)が中心となり、当社も協力して赤シソ初の機能性表示食品「ピュアペリラ」を開発、商品化しました。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
  機能性表示食品「ピュアペリラ」

※月刊フードケミカル 2018年9月号「赤シソと紫サツマイモの色・健康機能に関する取り組み(古我 匠、鈴木 優香)」より一部抜粋


着色例

クッキーの着色
蒸しパンの着色
チョコレートの着色
乳酸菌飲料の着色
梅漬けの着色


株式会社鹿光生物科学研究所ではシソ色素を用いた食品の着色について、これまでに培った様々な知見をもとに、お客様のご要望に沿った色彩の食品開発を支援しております。色調や安定性など、食品の色に関することはなんでもお問い合わせ下さい。


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