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天然色素/天然着色料の色の濃淡の表し方(色価)

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天然色素/着色料は各社から様々な種類、規格のものが販売されていますが、実際に使われる方が一番気にされるのはこのようなことではないでしょうか。

・この天然着色料はどれくらい濃い(薄い)の?
・A社から、現在使っている天然着色料が終売になり、色価が違う別の色素を紹介された。どうすれば今と同じ色が出せるの?

このような疑問を解決するキーワードである『色価』を説明します。


更新履歴
2021/04/27 新規作成


色価

 色価(Color Value)は色の濃淡を数値的に表す、着色料独自の値です。例えば右の写真のように、同じクチナシ黄色素製品でも製品で色の濃さ、つまり色価が異なる場合があります。色価は値が大きい方が色が濃いことになるため、例えば色価10の製品と色価1000の製品では、色価1000が100倍濃い製品ということになります。


 この色価は単に着色料の規格を決めるためだけではなく、加工食品の配合を決める際にも役に立ちます。例えば、これまで色価300の色素製剤を1%使っていた製品があったとします。ところがこの色素製剤が廃版になり手に入らなくなってしまいました。手元には色価500の色素製剤があります。
この場合、
  目的の商品の色価は色価300 x 1% = 色価3の濃さの色なので、 
  これと同じ色の濃さを出すためには、
  色価3 ÷ 色価500 = 0.6%、すなわち色価500の色素製剤を0.6%使えば
同じ濃さの商品ができることになります(下図)。


色価の測り方

 では色価は具体的にどのようにして求めるのでしょうか。
 色価を求める時には、分光光度計という専用の装置を使います(右写真)

 分光光度計というのはどういう装置かというと、物質に光をあてて、その光が透過する割合を調べて数値化する装置です。光には紫外線、可視光線、赤外線と様々な光がありますが、これらの違いは波長によるものです。詳しい説明は省きますが、分光光度計はその中の特定の波長の光がどの程度透過しているか(その物質がどの程度吸収しているか)を調べることができます。

 着色料はその名の通り着色のための素材ですので、対象となる光の範囲は見える光、つまり可視光の範囲について、その波長を調べるということになります。一般的には可視光線の波長は380nmから780nmと言われています。それぞれの色と波長の関係は下の図の通りです。


 実際に分光光度計で測定したデータが右の図です。このように横軸に波長、縦軸に吸光度を置いて、波長と吸光度の関係を表したものを吸収スペクトルと言います。そして測定対象が赤色であれば赤色の波長(520nm付近)の、黄色であれば黄色の波長(420nm付近)に山ができます。そこでこの山の頂上の部分、最も光が強い部分(波長)の吸光度の値を極大吸収波長と呼び、色価の計算に用います。

 実際に天然色素ではどうかというと、個々の色素について、食品添加物公定書や既存添加物自主規格の中に、決められた波長の範囲の中にある極大吸収波長の波長の吸光度を測って色価を求めるように書かれており、実際にもこの波長の幅の中に極大吸収波長が納まっているということになります。
 【例】
 アカキャベツ色素:波長520~540nm:赤色
 クチナシ青色素:波長570~610nm:青色
 クチナシ赤色素:波長520~545nm:赤色
 クチナシ黄色素:波長410~425nm:黄色
 スピルリナ色素:波長610~630nm:青色
 ムラサキイモ色素:波長515~535nm:赤色


色価の求め方

 ではこの極大吸収波長の値から実際にどのようにして色価を求めるのでしょうか。
 分光光度計は分析装置の中では比較的取り扱いが容易な装置ですが、着色料を測る際に一つ気を付けることがあります。それは「あまりにも濃いものは測れない」ということです。この装置は元々光の透過度を測る装置なので、あまりにも対象物中に物質が多すぎて光が通らないと値が出せず分析できません。それは色素の場合は色の濃さということになります。従って色素製剤など濃い色素は予め希釈して測定する必要があります。
 それを考慮して、色価は以下の式で計算します。

【実際に測定した場合の例】
 0.9gの色素製剤を1,000倍希釈した希釈液を分光光度計で分析した結果、極大吸収波長の値が0.81だったとします。この場合の色価は以下になります。


【色価の表し方】
 上記の900u/gというのは色価の一つの表し方ですが、実際の着色料製剤などで使われている製品ラベルにはよくE10%cm、E100%cmというような値が使われています。これらはなんでしょうか。

 E100%cmのEは吸光度Extinctionの頭文字Eを取ったものです。またcmは、分光光度計で測る際の液層の厚さに関する条件を示しています。なぜこのような条件があるかというと、色価を求める際には液層の厚さを同一にして極大吸収波長の吸光度を測る必要があるからです。なぜかというと、例えば水深10cmの池と10mの池を上から覗く場合、池の水は全く同じ色でも、10cmでは底が見えても10mでは底が見えなくなることがあります。つまり光を通す液の距離が長いほど色が濃く見えます。そうなると池の水の正確な色の濃さを求められません。そうならないように、色価を測る際は液層の厚さを1cmにするように、と規定しているのです。

 このEとu/gの関係ですが、E100%cmがu/gに相当します。

 つまり以下の式のように、900u/gはE100%cmの900に相当します。

 一方で着色料のパッケージや規格書ではほぼE10%cmと書かれています。

E100%cmとE10%cmの関係ですが、E10%cmはE100%cmの1/10の値になります。
つまり上記のE100%cm=900はE10%cmでは90に相当します。

紛らわしいですが、E100%cmは吸光度の値に由来する生の値、E10%cmは製品の表示でいずれもよく使われます。

頭の中でE100%cmのつもりで「色価1,000の色素ありますか?」と尋ねても、着色料メーカーの担当者は通常はE10%cmの色価1,000の色素製品?と捉えてしまいます。欲しいものがE100%cmの色価1,000のものなのか、それともE10%cmのものなのか、気を付けて伝えることをお勧めします。


色が変わってしまう天然色素の場合はどうするの?

ここまでの説明で、色価についておおよその内容は分かって頂けたかと思います。しかしながら鋭い方は以下の疑問が浮かんだのではないでしょうか?

「じゃあpHで色が変わるアントシアニン系色素の色価はどうやって出しているの?」

確かに右の写真のように、アントシアニン系の色素などはpHで色が変わります。色が変わるということは極大吸収波長も変わるということになり、例えばpH3の時の赤色では極大吸収波長が520nmで色価が100だったとしても、pH5では極大吸収波長が530nmで色価が80になってしまうということも起こりえます。このような場合どのように考えればよいのでしょうか。

食品添加物公定書の各天然色素の項目を見ると、このように書かれています。
『色価測定 色価測定法により、次の操作条件で試験を行う。
  操作条件
   測定溶媒 クエン酸緩衝液(pH3.0)
   測定波長 波長515~535nmの極大吸収部』
      (※ムラサキイモ色素の場合)

つまり、色価を測る際のpHが決められているということになります。アントシアニン系の色素の場合、通常はpH3.0と規定されています。  


参考資料:
片山脩、田島眞共著、光琳選書2食品と色、光琳
第9版食品添加物公定書


株式会社鹿光生物科学研究所は食品添加物(天然着色料)について長年の知識と経験を持っております。ご不明な点等がありましたらお問い合わせ下さい。

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