名称 | イカスミ色素/ Sepia color | ||
概要 | 本品は、モンゴウイカ(Sepia officinalis Linnaeus)等の墨袋の内容物を水洗いしたものより、弱酸性含水エタノール及び含水エタノールで洗浄し、乾燥して得られたユーメラニンを主成分とするものである(第5版既存添加物自主規格)。 | ||
INS No. | なし | E No. | なし |
色調 | 黒~褐色 | 染着性 | × |
溶解性(水) | × | 溶解性(油) | × |
耐熱性 | ◎ | 耐光性 | ◎ |
金属の影響 | なし | タンパクの影響 | なし |
分類 | 一般飲食物添加物/既存添加物自主規格 | ||
特徴 | 水や油脂に不溶/粉体混合・練り込みで使用 | ||
ニチノーカラー | イカスミ色素PD(粉末)/イカスミ色素LD(液体) | ||
食品への表示例 | イカスミ色素、イカ墨 | ||
使用基準 |
本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類 |
来歴
日本人にとってはイカ(烏賊)とイカが持つイカ墨は比較的馴染みが深い水産食材の一つです。元々イカ墨は、イカが外敵から身を守るために吐き出すと言われていますが、同じ方法で身を守るタコが持つ墨は水中に拡散しやすく、一気に広がって目くらましの役割を果たすのに対して、イカ墨は粘性があるために吐き出された後に徐々に広がるため、それがイカのように見えることで逃げやすくするという話があるようです。
この粘性はアミノ酸によるもので、タコ墨があまり利用されてないのに対して、イカ墨はこのアミノ酸のうまみ成分を利用してパスタソースやお菓子などに利用されているということになります。
色素
イカスミ色素の黒色の元であるユーメラニン(eumelanin、真性メラニンともいう)は、ヒトの髪の色について話される際に出るキーワード「メラニン(メラニン色素)」の一種です。話がそれますが、メラニンには黒~茶褐色のユーメラニンと赤褐色から黄色のフェオメラニンの2種類があります。髪の毛の中にユーメラニンが多ければ毛髪の色は黒に近づき、フェオメラニンが多ければ明るい色に近づきます。閑話休題
イカスミ色素は、このユーメラニンにタンパク質を介して強固に凝集しているため、水や有機溶媒に溶けず、また耐熱性・耐光性が非常に強いという特徴があります。その反面、液に溶けずに沈殿してしまうため、液体食品への使用には適しません。通常はベーカリー製品や麺類、菓子類などの食品に練りこむ形で使用されます。
またイカスミ色素の原料となるイカは日本ではアレルゲン物質(特定原材料など27品目)に含まれています。イカスミ色素を食品に使用する場合は「イカスミ色素」「着色料(イカ墨)」などの添加物表示が必要になりますが、そこでイカの表記があるため、「いか」を含む旨の特定原材料表示は省略することができます。※特定原材料表示では正しくは「いか」で、「イカ」は代替表記になります。