名称 | タマリンド色素/ Tamarind color | ||
概要 | 本品は、タマリンド(Tamarindus indica L.)種子を焙焼したものから、アルカリ性水溶液で抽出し、中和して得られたものである。デキストリン又は乳糖を含むことがある(第9版食品添加物公定書)。 | ||
INS No. | なし | E No. | なし |
色調 | 赤褐色 | 染着性 | ◎ |
溶解性(水) | 〇 | 溶解性(油) | × |
耐熱性 | 〇 | 耐光性 | 〇 |
金属の影響 | ― | タンパクの影響 | ― |
分類 | 既存添加物/食品添加物公定書 | ||
特徴 | 耐熱・耐光性強い/酸性下で不溶化する | ||
ニチノーカラー | B-T(粉末) | ||
食品への表示例 | タマリンド色素、フラボノイド、フラボノイド色素 | ||
使用基準 | 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類 |
来歴
タマリンド色素は、高さが20m以上にもある常緑植物のタマリンドの実から得られる色素です。タマリンドの原産はアフリカの熱帯地方で、現在ではインドや東南アジア、中南米アメリカなど熱帯、亜熱帯地方で栽培されています。
また、タマリンドの実には色素だけでなくガム成分が含まれており、増粘安定剤のタマリンドシードガム(タマリンドガム)も得られたり、ジュースを絞ってタマリンドジュースとして市販されているなど、用途が広い作物として知られています。
色素
あまり詳しく調べられてはいませんが、タマリンド色素の主成分はフラボノイドで、重合したプロアントシアニジンを多く含むとされています。また食品添加物公定書の確認試験でカカオ色素と試験項目の一致が多く、呈色の差も赤褐色~暗褐色(タマリンド色素)⇔褐色~暗褐色(カカオ色素)とわずかなことや、日本カラメル工業会が行った褐色のフラボノイド系着色料の分別試験で、8項目の試験のうち6項目で同じ結果が出ているなど、カカオ色素と似通った成分であることが推察されます。
※参考資料:①Puksiri Sinchaiyakita et. al., Tannins of Tamarind Seed Husk: Preparation, Structural Characterization, and Antioxidant Activities, Nat. Prod. Comm.,6(6),829-834(2011)、②喜多潤他、褐色フラボノイド系着色料の分別試験の検討、日食化誌、24(2),50-62(2017)
性質
色素としての特徴は、茶褐色を呈する水溶性の色素で、水に易溶、アルコールに可溶で油脂には溶けません。熱や光に対する安定性も高く、またタンパク質への染着性にも優れています。用途としては菓子類に使用されます。
上写真はホイップクリームの着色例、中央が無着色、右がタマリンド色素、左がカカオ色素