(株)鹿光生物科学研究所は食品の分析及び開発受託を請け負う分析機関です。天然着色料の取り扱いには自信があります。

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ハイビスカス色素

名称 ハイビスカス色素(ローゼル色素)/ Hibiscus color
概要 ローゼル(Hibiscus sabdariffa Linne)の花弁及びがく部より水で抽出して得られたものである。主色素はデルフィニジン-3-サンブビオシドなどである。デキストリン又は乳糖を含むことがある(第5版既存添加物自主規格)。
INS No. INS163または
INS163(x)
E No. E163?
色調 赤紫色 染着性
溶解性(水) 溶解性(油) ×
耐熱性 耐光性
金属の影響 あり タンパクの影響 暗紫色
分類 一般飲食物添加物/既存添加物自主規格
特徴 アントシアニン色素/耐熱性・耐光性弱い
ニチノーカラー  
食品への表示例 ハイビスカス色素、ローゼル色素、アントシアニン、アントシアニン色素、ローゼル
使用基準 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類

更新履歴
2021/5/11 更新


来歴

 ハイビスカスはハワイでは現地の言葉で「アロアロ」と呼ばれる州の花で、首飾りのレイなどにもよく使われています。日本でも南国らしい雰囲気をもった花として、主に観賞用としてよく知られていますが、実際にはアオイ科のフヨウ(芙蓉)属に属する植物全般をさしており、1年、2年、多年草や樹木に至る様々な様態のものがあります。よく知られているのはフヨウ(芙蓉) Hibiscus mutabilisやムクゲ(木槿)Hibiscus syriacus、また意外なつながりとしては一時期木材の代替え資源として注目されたケナフ(Hibiscus cannabinus)も同じフヨウ属の植物です。


 その中でアフリカ原産のハイビスカスHibiscus sadbariffaを別名ローゼルroselleといい、その花や実をお茶(ハイビスカスティー)として用いられています。酸味が強く色が赤い特徴があり、単独やブレンドティーとしてよく使われています。ハイビスカス色素はこれらの色の部分から作られた色素になります。


構造

 ハイビスカス色素として使われるのはアントシアニン系の色素で、デルフィニジンに、サンブビオシドというグルコースとキシロースの二糖体が結合した構造を持っています(右図)。このサンブビオシドを持っている、食品添加物として日本で認められているアントシアニン系色素はこのハイビスカス色素のみです。


色素の特徴

 ハイビスカス色素は食品表示上ではアントシアニン、アントシアニン色素という記載も可能なため、食品の着色用途で使われている可能性はありますが、実際のところハイビスカス色素と表示された食品をこれまでに見たことがありません。

 基本的にはアントシアニン系の色素の特徴を持っており、pHで色調の変化が生じること、水溶性色素で油には溶解しないなどの性質があります。またハイビスカスティーがハーブティーの中でも酸味が強いことからも分かるように、ハイビスカスにはクエン酸やリンゴ酸などの有機酸が多く含まれており、そのために元々のpHが酸性によっています。そのことも、ハイビスカス色素を水に溶かした際に非常にきれいな赤い色調を呈する理由の一つではないかと考えられます。


株式会社鹿光生物科学研究所ではハイビスカス色素を用いた食品の着色について、これまでに培った様々な知見をもとに、お客様のご要望に沿った色彩の食品開発を支援しております。色調や安定性など、食品の色に関することはなんでもお問い合わせ下さい。

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