一昔前までは、黒色の食品というと黒ゴマ、黒豆というイメージで、素材そのものの色を活かすことはあっても、あえて食品を黒くするということは行われていませんでした。しかしながら最近では逆に物珍しさと、食品の色がもたらす健康機能性の一環で、非常に明快な色である黒色に対する健康イメージの向上も相まって、黒色を全面に押し出した加工食品が見られるようになりました。

 天然の黒色の色素としては植物炭末色素とイカスミ色素がよく知られています。これらはまさしく黒い色素ですが、いずれも固形物で水にも油にも溶けないため、食品には練りこんで使う形になります。従って練りこみができない飲料系や表面のみを着色したい場合などには使いづらいのが難点です。

 そこで当研究所では天然色素の組み合わせで黒い色が出せないか検討したました。今回は茶色のチョコレートアイスにカカオ色素とクチナシ青色素の組み合わせで黒色を出す試みを行いました。


 その結果が上の写真です。一番左が無着色で、右に行くほどカカオ色素は変えずクチナシ青色素の割合を増やしていった場合の色合いになります。一番右側はほぼ黒色になったことが分かるかと思います。

 この混合色のメリットとしては、使用色素がいずれも水溶性なので液体や液体に近い様態の食品にも使用できること、色の配合比を変えることで微妙な色合いを変えることができることなどがあげられます。

なお、今回はチョコレートアイスという、ベースが茶色のアイスを使用したためにこのような天然色素を使用しましたが、ベースの色によっては他の色素を組み合わせた方がよりよい色合いになることがあります。何かご要望がありましたら当研究所にお問い合わせください。


株式会社鹿光生物科学研究所では食品の着色についてこれまでに培った様々な知見をもとに、お客様のご要望に沿った色彩の食品開発を支援しております。写真に関すること、色調や安定性など、食品の色に関することはなんでもお問い合わせ下さい。