名称 | 植物炭末色素/ Vegetable carbon black | ||
概要 | 本品は、植物を炭化して得られた、炭素を主成分とするものである(第5版既存添加物自主規格)。 | ||
INS No. | 153 | E No. | E153 |
色調 | 黒色 | 染着性 | × |
溶解性(水) | × | 溶解性(油) | × |
耐熱性 | ◎ | 耐光性 | ◎ |
金属の影響 | なし | タンパクの影響 | なし |
分類 | 既存添加物/既存添加物自主規格 | ||
特徴 | 色素の主体は炭素/溶解性なし/粉体混合・練り込みで使用 | ||
ニチノーカラー | |||
食品への表示例 | 植物炭末色素、炭末色素、炭末 | ||
使用基準 | 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類 |
来歴
炭は植物などの有機物を蒸し焼きにすることでできるもので、備長炭など表面が白い炭もありますが、通常は黒い色をしています。その歴史は大変古く、人類が火を使い始めたころから燃料として使われていたと言われています。その後、調湿や消臭の用途でも使われるようになりました。
炭素のかたまりであるにも関わらず、炭にこのような働きがあるのは、かたまりの中に無数の孔があり、その孔の中に水分や臭い成分を吸着し閉じ込める作用があるためです。
食用の炭
このような働きが知られている中で、近年竹炭パウダーなど、炭を食用とすることが行われるようになってきました。ミネラル分が豊富である、体内の老廃物を吸着して体外に出すなどと言われていますが、その効果は定かではなく本編の分野からも外れるため、ここでは取り上げません。しかしながら炭を色素として使われている例があるため、それについて以下紹介します。
色素
植物炭末色素は通常、竹を原料とした竹炭から作られることが多いようです。これを粉砕あるいは微粉砕してパウダー状にしたものが使われます。またグリセリンや糖アルコールなどに分散させた液体製剤も見られます。
いずれにしても本体は炭ですので、水には溶けません。粉と混ぜたり、生地に練りこむなどの方法でパンや饅頭、菓子類に使われます。また熱や光による影響を受けることもありません。
天然の黒色色素には他にイカスミ色素がありますが、イカスミ色素は多少独特の臭いがあるのと、イカがアレルゲン物質に該当するため、用途に応じて使い分けられています。なお、海外では植物炭末色素はvegetable carbon blackとしてイカスミ色素よりも使える国が多い黒色色素です(※)。中国、香港、タイ、シンガポール、カナダ、FSANZ(オーストラリア・ニュージーランド)、ロシア、EUなどで食品添加物リストに掲載されています。(新、世界の食品添加物概説(第2版)、日本食品添加物協会編)
※海外での食品添加物の使用可否については、各国の添加物リストに掲載されていても食品により使用できない場合、使用できても最大使用量が定められていることなどが多くありますのでご注意ください。