名称 | サフラン色素/ Saffron color | ||
概要 | 本品は、サフラン(Crocus sativus Linne)の雌芯頭より、エタノールで抽出して得られた、カロテノイド系のクロシン、クロセチンを主成分とするものである(第5版既存添加物自主規格)。 | ||
INS No. | なし | E No. | なし |
色調 | 黄色 | 染着性 | 〇 |
溶解性(水) | 〇 | 溶解性(油) | × |
耐熱性 | 〇 | 耐光性 | △ |
金属の影響 | なし | タンパクの影響 | なし |
分類 | 一般飲食物添加物/既存添加物自主規格 | ||
特徴 | 色素成分はクチナシ黄色素と同じ | ||
ニチノーカラー | |||
食品への表示例 | サフラン色素、カロチノイド、カロチノイド色素、カロテノイド、カロテノイド色素、クロシン、サフラン | ||
使用基準 | 本品は以下の食品には使用できません。1.こんぶ類、食肉、豆類、野菜類、わかめ類(これらの加工食品は除く)。2.鮮魚介類(鯨肉は除く)、茶、のり類 |
来歴
サフランは3千年以上昔から、中近東を原産として香辛料、染料、薬用植物として広く使われてきました。植物としてはアヤメ科クロッカス属であり、観賞用のイヌサフランやクロッカスと同属になります。大きな花びらと、その中心部に目立つ鮮やかな黄色のおしべ(雄蕊)と紅赤の柱頭をつけるめしべ(雌蕊)が特徴で、一つの花に3本しかないその紅赤の柱頭を一つずつ手で摘み取って乾燥させるという非常な手間がかかるため、古来から極めて高い香辛料として知られていました。
成分
サフランに含まれる色素成分は、クチナシ黄色素と同じカロテノイド色素のクロシンです。サフランにはその他にサフラナールやピクロクロシンなどが含まれていますがサフラナールは精油成分であり香りが、クロシンの名前がついているピクロクロシンは色素ではなく、サフラナールにグルコース基がついた誘導体で、独特の苦味が香辛料として使われています。
国際規格
極めて高い香辛料であるサフランは現在、ISO国際規格で規格化されており(ISO3632)、その中でクロシンやピクロクロシンの含有率によりI~IIIの等級が設けられています。クロシンの規格については、
I級:色価190以上
II級:色価150~190
III級:色価100~150
※色価は440nmにおける極大吸収波長E1%cm
となっており、赤い柱頭のみを用いるほど等級が高く、根元の黄色いめしべの部分も含まれると等級が下がるようです。
また、主産地であるイランでは最高級をSargol(色価240~)、上級をPushal(Pushali)(色価220-240))、中級をBunch(色価150~180)、下級をKonge(色価120~150)という等級付けがあったり、またスペインでも独自の規格があります。
色素の特徴
色素としてはクチナシ黄色素のクロシンと同じものです。クロシンは、上記の構造式に示したように炭素数20のカロテノイドであるクロセチンに二糖類の一つであるゲンチオビオースが2分子エステル結合した物質です。クチナシ黄色素は中華麺でよく用いられますが、そこで使われるかん水による色の変化(クロセチン化)についてはサフラン色素も同様になると推察されます。
用途
サフランの色素は水に溶けやすく鮮やかな黄色になるため、古来からフランス料理のブイヤベースやスペイン料理のパエリヤ、インド料理のサフランライスなど、日本でもなじみがある料理に着色・スパイス用として非常によく使われています。そのような背景もあり、食品添加物としても中近東諸国や米国、EUなどで広く使用できる天然色素として知られています。