すっかり洋菓子の定番になっているマカロンはもともとフランスを代表する、材料は卵白と砂糖とアーモンドだけというシンプルな洋菓子です。しかしながらシンプルだからこそなかなか作るのが難しいという話を聞いていたため、実はこれまで手掛けたことがありませんでした。

 しかしながら今回、初心者でも簡単にできる”ラピッドマカロン”というものを見つけましたので、これを使ってマカロンを作り、天然色素で色付けしてみました(ラピッドマカロン、キューピータマゴ(株))。

 本来のマカロンは卵白とグラニュー糖で作ったメレンゲにアーモンドパウダー(アーモンドプードル)と粉糖を混ぜて(マカロナージュして)、それを絞ってオーブンで焼くというものですが、メレンゲの作り方やマカロナージュの加減によって膨らんだり膨らまなかったり、あるいはひびが入ったり焦げ目がついたりと、綺麗に作るのはなかなか難しいそうです。ラピッドマカロンはメレンゲを作る材料が既にミックスされたもので、初心者でもマカロンができるようにいろいろと考えられているようです。それでも菓子作り素人の私たちは試行錯誤しましたが、なんとか天然色素で色付けしたマカロンができました。

マカロンには淡黄褐色のアーモンドパウダーを使いますが、生地の色はほぼ真っ白なので、各色素の色合いがそのまま出やすい素材だと言えます。なおマカロンを焼成する時に140℃~160℃のオーブンで15分程度焼くため、耐熱性が弱い色素の扱いには気をつけなければなりません。


今回はクチナシ赤・青・黄色素、トウガラシ色素、ベニコウジ色素、アカビート色素、ベニバナ赤色素、カカオ色素、植物炭末色素を使いました。また緑色、黒色は混色で色付けしてみました。なおアントシアニン系の色素は使いませんでしたが、生地が中性よりなのでおそらく紫色になると思います。

赤色系の中でもトウガラシ色素は特徴的な橙色で、カボチャやメロンの果肉をイメージさせる色になりました。またクチナシ赤色素は添加量を調整することで、ベリー系をイメージさせる紫色になりました。一方イチゴなどをイメージさせるピンクとなったのはアカビート色素、ベニコウジ色素、ベニバナ赤色素です。ベニバナ赤色素は添加量を増やすと鮮明なピンク色になりますが、価格が高いのが難点です。比較的類似した色合いになるのがアカビート色素ですが、熱に強くないため、オーブンで焼成した際の退色を見越して添加量を多めに設定する必要があります。ベニコウジ色素は安価ですがやや鮮明さに欠ける色合いになりました。

緑色については単色のクロロフィルは耐熱耐光性が弱く、また油溶性のため今回は使用せず、クチナシ青色素とクチナシ黄色素の混色で色付けしました。混色の濃淡によってもだいぶ雰囲気が変わりますが、青色素と黄色素の割合を変えることで野菜のイメージの濃い緑色から抹茶っぽい明るい緑色など様々な緑色にすることができます。

黒色は単色として植物炭末色素を使うことができますが、混色でも色を作ることができます。ここではカカオ色素とクチナシ青色素の混色でマカロンに色付けしました。植物炭末色素がやや青みがかった黒、混色は黄みがかった黒になります。

またその他のクチナシ黄色素による黄色、クチナシ青色素による青色、カカオ色素を使った茶色はいずれも天然色素っぽくない鮮明なカラフルな色付けができました。

それぞれで使われている色素の詳細は当社のwebサイトをご覧ください。

※写真の撮り方で色合いが違って見えるものがありますが予めご了承ください。


Recipe <直径4cm・約30枚分(15個)(ラピッドマカロンの説明通り)>

 <生地>
   ラピッドマカロン    50g 
     アーモンドパウダー    50g
   (アーモンドプードル)     
     粉糖          50g
        水            32g
   
色素(下表参照)

 <色素>  (生地に対して)

 <作り方>
   ① ボールにラピッドマカロンと水を入れて軽く混ぜ合わせる。
   ② ハンドミキサーで角がピンと立つまでしっかりと泡立ててメレンゲを作る。
   ③ 予めざるでふるっておいたアーモンドパウダーと粉糖を加えて軽く混ぜあわせる。
   ④ 色素を添加して均一になるように混ぜる(粉末色素は少量の水で溶いてから
加える)。
   ⑤ ハンドミキサーで混ぜあわせる。
   ⑥ 絞り袋に生地を入れて、直径4cm程度に絞る。 
   ⑦ 予熱したオーブンで焼く(目安:140℃x16分)
   ※詳しい作り方はラピッドマカロンのパッケージを参照ください。



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