透明系の飲料の着色①に引き続き、透明な液体を赤色に着色した場合の色合いを比較してみました。下の写真の上3つはアントシアニン色素でないもの、それ以外はアントシアニン色素です。アントシアニン色素でないものは水に、アントシアニン色素はpH3にした水溶液に溶かしたものです。いずれも日農化学工業(株)の製品を使いました。


 【アントシアニン色素以外】

 アントシアニン以外の色素としてトウガラシ色素とクチナシ赤色素を使いました。アントシアニン以外の色素はいずれもpHの影響を受けないというのが特徴ですが、トウガラシ色素は油溶性の色素で基本的には水には溶けません。そこで飲料など水系への着色は、水に分散するように乳化させた色素が使われます。色合いは橙色の色合いになります。オレンジ系のイメージで使われます。
 
 クチナシ赤色素はアントシアニン色素と比べて青みが強い赤色になります。pHが中性寄りでもアントシアニン色素と比べて色調の変化が少ないため、透明、不透明に関わらずプロテイン飲料やヨーグルト飲料などpHが中性域の飲料に使われます。


 【アントシアニン色素】

 例えば炭酸飲料など、飲料のpHが酸性であれば、アントシアニン色素は色合いもよく、安定性もよいため使いやすい色素です。比較的pHが酸性寄りであることが多い清涼飲料水でも使われています。ラベル表示ではアカキャベツ色素、ブドウ果皮色素など具体的な名称で書かれているほか、アントシアニン色素と書かれたり、また一部野菜色素と書かれている場合もあります。

 写真でも分かるように、一口にアントシアニン色素といっても由来植物で色合いが異なるのが分かるかと思います。実際にはこれらの色合いを元に、添加量や色素を組み合わせたりして目的の色調に近づけていくということが行われています。

 なお色素によっては由来植物由来の香り、例えばシソ色素のシソの香り、あるいはアカダイコン色素のダイコンの香りなどがすることがあるので、香りが少ない色素を使ったり、香料など別の香りでマスキングするなどの工夫も施されています。その中で当社は天然色素メーカーである日農化学工業(株)と共同で、赤シソやアカダイコンなど、アントシアニン色素の原料作物そのものについて香りが少ない品種の選抜から改良開発を進めています。


株式会社鹿光生物科学研究所では食品の着色についてこれまでに培った様々な知見をもとに、お客様のご要望に沿った色彩の食品開発を支援しております。写真に関すること、色調や安定性など、食品の色に関することはなんでもお問い合わせ下さい。